ここを見直せばあなたの仕事は楽になる!
ルーチンワークのムダ・ムラ・ムリを
解決するための着眼点

 −藤永伸一−取材協力記事
―経理WOMAN 2002年9月号 掲載



 日々繰り返されるルーチンワークは、慣れた仕事だけに、ムダ・ムラ・ムリを生み出しやすいものです。しかし、限られた人数でさまざまな仕事を担当している中小企業の経理ウーマンこそ、事務作業を見直して業務の効率化を考える必要があるのではないでしょうか。
 ここではルーチンワークの中からムダ・ムラ・ムリを見つけ出し、それを解決するための着眼点を解説します。

仕事の「効率の悪さ」の原因は
ルーチンワークの中にある!?


 どんな仕事でも、新しい業務を担当するときは、前任者から引継ぎをしてそのやり方を一から教わります。
 その際、よく見受けられるのが「どうしてこの仕事をするのか」という目的が明確にされず、やり方のみを前任者から教わるケースです。仕事の目的が曖昧ならば曖昧なほど、「果たしてこのやり方でいいのか」と疑問に思う余地がなくなります。ここに、仕事のムダやムラ、ムリが生まれる原因が潜んでいるのです。
 なかでも「ルーチンワーク」といわれる定期的な事務作業は、手順が単純で目的を理解していなくても仕事が進んでしまうだけに、とくにこの傾向が強いようです。
「人数は少ないのに担当する仕事が多すぎる」「残業しても仕事が終わらない」という方は、ぜひ一度、自分の抱えているルーチンワークのやり方を見直してみてはいかがでしょうか。

ルーチンワークの“ムダ・ムラ・ムリ”が
発生する原因とは?


●作業自体が慣習化している
 あなたの会社にも、「必要性」よりも「作成すること」が慣習化してしまっている書類等はありませんか?
 ある事務仕事が長い間繰り返されているうちに、その“作業をするという行為”自体が慣習化してしまうケースは意外に多いものです。すると、現在ではまったく活用されていない書類や、同じような内容の書類が複数作られているというムダが発生してしまいます。
●整理がされていない
 社内の整理がきちんと行われていないことによるムダ・ムラ・ムリも見逃すことができません。
 たとえば社判等のハンコが所定の位置に置いていなければ、いざ使おうとしたときに、まずは探す作業から始めなければなりません。また、せっかく作成した書類も、必要なときにすぐに取り出せなければ作成している意味がありません。
 このようなルーチンワークのムダは、私がコンサルタントとしてうかがう多くの会社に共通して見受けられるものです。
 どれも事務作業の中に潜むちょっとしたことが原因なのですが、日常業務を流れ作業的にこなしている担当者自身は、気が付かない、あるいは見つけるチャンスがないというケースが多いようです。
 つまり、この「担当者自身が気が付きにくい」というのが、ルーチンワークのムダ・ムラ・ムリを生み出す最大の原因だといえるでしょう。

自分の抱えているルーチンワークを見直してみよう

 前述したとおり、日々、ただ漫然と仕事を繰り返しているだけでは、ルーチンワークのムダを見つけ出すことはできません。しかし、言い換えれば、いつもの自分の仕事をちょっと見直すだけで、新しい発見や効率化の糸口を見つけることができるはずです。
 実践的な方法として、次の手順で自分の仕事を見直してみましょう。
1 その仕事の目的を把握する
 仕事には必ず目的があります。しかし、その作業をすること自体が目的化してしまっている場合には、本来の目的が見えなくなっていることがあります。
 このとき、ただ自分の仕事の目的だけでなく、今会社が掲げている目標は何か、その目標達成のために自分の所属する部署にはどのような目標が課せられているか、自分の担当する仕事はそれにどのように関わってくるのか、と大きな目標から順々にブレークダウンして考えていくとよいでしょう。
2 その仕事をやめたらどうなるか
 1のように考えていくと、自ずと現在は必要のない事務仕事が発見できるはずです。しかし、ここでいきなりその作業を切り捨ててしまうのではなく、実務レベルでその仕事をやめてしまったときの影響を考えます。
 一度「必要ない」とやめてしまった作業を復活するとなると、また新たなムダ・ムラ・ムリが発生する原因となるからです。
3 減らしたらどうなるか・やり方を変えたらどうなるか
 その仕事をまったくなくしてしまうのが問題ならば、これまでかかっていた時間や人数等を減らして行なうことができないか、また作業の手順を変えたらどうなるかを検討します。
 作業時間が減ったり、適正な手順が見つかれば、必然的に仕事の効率がアップするはずです。

“ムダ・ムラ・ムリ”を生み出さないための
日常業務の進め方


 見直しの結果、現在でも必要と判断された仕事も、これまでと同じように進めるだけでは仕事の効率化は図れません。前述したとおり、今よりもっと効果的な方法はないか再検討してみましょう。
 日常業務の見直しのポイントは以下のとおりです。
1 単純化する
 もともとルーチンワークといわれる仕事は、あるパターンに則れば苦もなくできてしまうものがほとんどです。しかし、一度そのやり方が定着してしまうと、「もっと単純な方法はないか」と検討する機会がなくなります。たとえばコンピュータを使って自動集計ができる作業を未だに手作業で行なっている、などがよい例です。
 まずは、その仕事の「一番単純な方法は何か」を考えてみましょう。
2 標準化する
 仕事の作業方法や手順が単純になったら、そのやり方を誰もができるように標準化し、統一するようにしましょう。
 ルーチンワークの特徴として、やり方が担当者1人の頭の中だけに入っていて、ブラックボックス化している傾向があります。これでは、担当者が急に休んだ場合等、仕事が滞ってしまう恐れがあります。
 そんな問題を回避するために、仕事のマニュアルを作成するのも一法です。「マニュアル」というと、異動や退職の際に作成するものというイメージがありますが、日頃から作業手順が明確になっていることで、誰にでも代替が可能な仕事になります。
3 専門化する
 これまでの手順で仕事が単純化・標準化できたら、その仕事の質をよりレベルアップするために、専門化を図る必要があります。
「ルーチンワーク」と「専門化」とは一見相反するもののように聞こえますが、つまりはこういうことです。たとえば請求書を発行する作業も、その後、請求先がきちんと約定日に入金しているかをチェックする、期日を過ぎても未入金の場合は営業担当者とフォローの仕方を考える、売掛金台帳を作成する…など、事務作業をそれだけで終わらせず、次のステップにつなげるにはどうしたらよいかを考えていくことで専門化が図れるわけです。

仕事の効率化のポイントは“楽”の文字

 「ルーチンワークに追われて時間がいくらあっても足りない」「仕事が単純でつまらない」など、こうした問題点に気が付いたあなたは、もうルーチンワークのムダ・ムラ・ムリを半分解消したといってよいでしょう。なぜなら、冒頭でも述べたとおり、こうした日常の事務作業のムダ・ムラ・ムリは担当者サイドではなかなか気が付きにくいことだからです。
 前項まで、仕事の効率化のヒントを専門家の立場からアドバイスしてきましたが、最大のポイントはなんといっても“楽”です。つまり、自分の担当する仕事の目的を的確に理解し、効率的に進めることで、仕事は“楽”になり、“楽”しくなります。ぜひ、あなたも自分の仕事の見直しに、積極的にチャレンジしてください。

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