時代が移れば経営環境も変わる。とくに最近のような激動期にあっては、庶務が総務と呼びかえられるようになった以上、総務にも新しい職能が求められるようになってきている。
本書は、そういう新たな視点にたって、先の「庶務課の実務」を土台に、日本法令様式出版部で企画されている「田中要人 経営実務体系」の一冊として書き改めたものである。この書が、「総務の実務」の再版を要望してくれた方々を含めて、世の経営者、実務家の参考にいささかでもなければ、著者として、これに過ぎる喜びはない。
本書では経理の仕事を、経営実務の面から取り上げ、経理課実務としてのいき方を考察してみた。もちろん、経理に関する文献は、非常に多く上梓されているが、経理課の仕事を経営の実務として、また、能率採算の面からみたものは、殆どないのではないかと思う。どちらかといえば、会計原則や簿記理論に基礎をおいた著者が多く、また実務書も大分出ているが、経理課全体の仕事として、総合的に取扱っているものは少ない。
労務に限らず、事業経営は、すべて実務の企画処理および処理技巧の内容の適否で成績が決まる。たとえば、販売において、よい品を高く売るのがよいこともあれば、悪い品を安く売る方がより実情に適していることもある。問題は方針、企画
その扱い方と処理技巧である。
と同じように、労務において、従業員の資金は、高く出すのがよいこともあれば、やり方によっては、そうでないことがかえって適切であることもある。相手が仕事の性質とそれぞれの個性と事情を異にしてくる。こうした微妙さは、労務の場合は特に多い。
本書は、事業体において、労務事務を所管する労務課の必要な仕事の内容とそのあり方に主体をおくとともに、経営者、各幹部への労務への考え方、働く人の現場の労務実務としての労務のあり方・つかみ方を体系的にまとめたものである。
販売業務の担当者は、「いかに売るか」と考え、販売応待技術の一つを取りあげてみても、積極的な訓練を繰り返し行っている。しかし、売手にたいする買手のほうはどうであろうか。「買ってやっているのだ」という認識から、仕入応待技術などは少しも研究しようとしていない。
極端ないい方になるが、売手の勉強ぶりにたいし、あまりにも不勉強なのが、その実態であり、売手のいいなりに買わされているのが、仕入・購買業務の買手なのである。
そこで、生産中心の時代・販売中心の時代を経た今日、仕入・購買業務が、本来の「企業利益造成部門」に立ち戻り、その業務活動を展開するためには、どうあらなければならないかを、経営業務の立場から体系化したのが、本書である。
今日のように、経営環境が厳しく、ますます販売がむずかしくなる時期に、いたずらに東奔西走しても、効果が上がるものではない。
本書は、販売についての理論書ではない。筆者が、今まで指導して来た数百社の販売業務の改善・指導の体験を、ここに体系的にまとめたものである。したがって、あくまで販売についての実践書・実務書であるといえよう。
皆さんの口中に投じて賞味されている一片のキャラメルは、決して偶然に作られたものではない。その昔、世にも哀れな孤児として、流転の生立を経た「少年太一郎」が奮然志を決して遠き異境の米国に渡り、変転極まりなき12年の歳月を送って、苦心惨憺、血と脂とを以て覚え込んだ製菓術を持帰り、家賃二圓五十銭の小屋で作り始めたのが、そもそも日本に於けるキャラメルの始まりである。
製造生産の本はあっても、製品の種類や業態別に製造方法を説くことは非常に難しい。また、したがって、中小企業の製造生産に向くように説いた本は非常に少ない。工場や技術の雑誌もいろいろでているが、そういうところまで話がいっていない。電気、機械、化学工業の大工場に向いたような内容のものは多い。そこで、ここに、どこの中小企業にも向くというような、また、いろいろな企業に向くような話をしようということで書いたのがこの本である。
書店の店頭で本書を手にとられるのは、おそらく総務担当の方が圧倒的に多いだろう。だが、著者としてはまず、本書を社長を始めとする経営者の方々に是非読んでいただきたいと思う。なぜなら、総務は、これからの会社の命運を左右するといっても過言ではないほど重要な部門だからだ。つまり、日本の会社が経営改善をすべき最後の部門がここなのである。
総務の仕事の範囲は極めて幅広いものです。そのため、総務部門の会社経営に果たす役割も、あいまいなものになりがちです。
本書では、まず、総務を「扇の要」のような役割と位置づけました。つまり、会社にある様々な部門を、最終的には「サービス」という機能でまとめあげるものだということです。会社業務を運営するに当たっての潤滑油であるといってよいでしょう。
また、本書は総務業務を特に「新人総務担当者」が行うことを前提として書かれています。単に総務業務を学ぶのではなく、「何の目的のために、その業務があるのか」という視点を、絶えず持ち続ける必要があります。そのことは、常に会社経営における総務の役割を確認することにつながります。
総務の仕事の範囲は極めて幅広いものです。そのため、総務部門の会社経営に果たす役割も、あいまいなものになりがちです。
本書では、まず、総務を「扇の要」のような役割と位置づけました。つまり、会社にある様々な部門を、最終的には「サービス」という機能でまとめあげるものだということです。会社業務を運営するに当たっての潤滑油であるといってよいでしょう。
また、本書は総務業務を特に「新人総務担当者」が行うことを前提として書かれています。単に総務業務を学ぶのではなく、「何の目的のために、その業務があるのか」という視点を、絶えず持ち続ける必要があります。そのことは、常に会社経営における総務の役割を確認することにつながります。